キャディをやってきて、忘れられない失敗というのはたくさんあります。 結果として流れを止めてしまったと思うようなミスから、明らかにスコアに響いてしまったものまで内容は様々です。
失敗に対する恐怖心はキャディに慣れていない時ほど強く、経験を積むにつれて状況によって時に感じたりする程度になります。 見るからに落ち込んでいるキャディの話を聞いて、その原因が大きなミスをしてしまったという内容であったりすると、明日は我が身と言わんばかりにミスに対する恐怖心が湧いてくることもあります。 しかし、そういった大きな失敗は思わぬときに起こることがほとんどです。
例えば、スコアにそのまま影響する失敗の中でもっともよくあるものとして挙げられるのは、「誤球」です。 誤球が起こりやすい状況は、ラフが長くロストボールが頻繁に起きているような状況です。同伴競技者が同じメーカーのボールの時は、ネームがふってあっても番号を違う物にしたり、マジックでわかりやすいように印をつけたり、お互いに注意を払います。しかし、それでも誤球してしまいかねない状況というのがあります。 例えば、ボールを探してくれる係りの方が「あなたのボールはここにあります」と示してくれますが、時にはそれが先に回っている誰かの見つけられなかったボールでしかも同じメーカーのものという場合があります。 選手もキャディも入念に確認するようにしていますが、時には同伴競技者までも勘違いして誤球してしまうこともあり、まさに魔が差すような形で誤球は起こります。 それでも、確認を怠ったキャディのミスということになります。
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池には私が見送ったニューボールが…。 |
誰もがその選手のボールだと信じて起きてしまったような誤球をキャディの責任として責める選手はほとんどいませんが、キャディにとっては自分のミスとして心に残ってしまうことがほとんどです。 ボールがなかなか見つからず探している時に思わずボールを蹴飛ばしてしまったというような避けがたいミスでさえ、スコアに明らかに影響するものはキャディの心に残ってしまうものです。
失敗を恐れている時にする失敗はまわりが見えていないことから引き起こす失敗がほとんどで、大体は自分がついている選手に対してのものよりも同伴競技者に対して迷惑を及ぼすようなものが多いようですが、思わぬときに起こす失敗はそのまま選手のプレーに影響が出るものも多く、今後のキャディ人生をも脅かしてしまいかねないものがあります。
使用球以外のボールを渡してしまった。 ドロップしたボールを思わず拾い上げてしまった。
様々な失敗談を聞くたびに、自分もいつかそういったミスをするのではないかと恐怖心をいだきますが、そういった話をしっかりと聞いておくことで、似たような状況になった場合に同じ状況を作り出すことを極力避けるように、より一層集中することができるようになります。そういったミスを知っているということも大事ですね。
ちなみに、「ウォーターハザードの救済処置中に、赤ラインを転がって越える前にドロップしたボールを拾ってしまい、ペナルティを受けた」という話を聞いてしまったがために、私はそれに関わる失敗をするようになってしまいました。 それは、ボールを拾うということが怖くなり、赤ラインを越えたのにボールを拾うことができずそのまま池に見送ってしまうという失敗です。 傘でボールを受けるように等の策もめぐらせましたが、私がそのまま池に見送ったニューボールの数は既に数えきれません。お恥ずかしい話です。 |