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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第25回 会話の効果

2007.4.23

「ラウンド中、選手とキャディって何を話しているのですか?」

おそらく1番聞かれる事です。
ラウンド終了後に記者の方たちからもよく聞かれます。
実は…くだらない事が90%ぐらい。残りの10%がプレーについて。そんなものです。
しかし、そのくだらない90%がとても大事だったりするのです。
もちろん、その話の内容が大事なのではなく、話しかけるタイミングや選手の気持ちをどこに持っていくかという点が重要なのです。
会話を上手く利用することによって、プレーの流れを変えることができます。

会話の効果が一番期待される時とは、流れが悪く、選手の気持ちがマイナスの方向に向きがちな時です。
これは、怒っている時や落ち込んでいる時等の状況ですが、怒っている時というのは、一概に会話の効果が期待できるものではありません。
怒っている時というのは、実は集中につながる場合が多々あります。
怒ってプレーが雑になってしまうタイプの選手でなければ、その怒りを集中力に変えていくように仕向ければいいので、無駄な会話よりもゴルフから離れない会話の方が効果的な場合が多いです。
雑になってしまう選手の場合は、まずはミスを忘れさせ、先の事や他の事に目が行くように、ゴルフ以外の会話の方が良いようです。
落ち込んでいる場合は、いつも以上に話しかけます。
元気付けるというよりは、全くゴルフとは関係ない話題を振ることの方が多いです。
そのためにも、その選手の興味を引くような、そしてできれば笑えるような話題を見つけておきます。
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こういった感じのときは、ゴルフの話は全くしていま せん。
何を話しているんでしょう?
逆のパターンで、優勝争いのような緊張を伴う場面で、緊張のために舞い上がってしまったような状況においても、選手に安心してもらうためにも会話はとても大事です。
選手が作っていない笑顔を見せてくれたら一安心といったところですね。
「明日までに面白い話を5つ見つけてきて」とキャディ に頼んだ選手がいるというのも、こういった状況になったときに、会話がいかに大事かを物語っています。
しかし、話しかけるタイミングやその話の内容を間違えてしまうと、いい流れを止めてしまうこともあります。
まだまだキャディとして未熟だった頃、優勝争いをしていて、選手の緊張感をほぐそうと話しかけたときに、「後で聞くから今は黙っていて。」と言われた事があります。
後になって考えると、選手はプレーに集中できていて、流れもとても良い状態でした。
話しかけることによって、選手の集中を乱してしまう可能性が大きいタイミングだったと言えます。
選手がプレーに入り込めている時というのは、何をしても上手くいく時でもあり、かえって空気のような存在になることが求められます。会話が必要無い時というのは、最高の時とも言えます。
では、そんな会話の内容は?というと、書く必要の無いほどくだらないことばかりなのです。本当ですよ。
 
次回更新予定:2007年4月30日

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