小田 美奈のコラム

Home > コラム一覧 > 小田 美奈のコラム
プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第47回 選手からのプレゼント

2007.9.24

今週の男子ツアーは東海クラシック、女子ツアーは日本女子オープンです。
前に「一番記憶に残っている大会はなんですか?」という質問を受けたことがありますが、その時の答えは今井克宗プロの2004年の東海クラシックと宮里藍プロの2005年の日本女子オープンでした。

2005年の日本女子オープンは宮里藍プロの公式戦初優勝ということで、印象に残っている方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
もちろん、私にとっても公式戦の初優勝で、そういった意味でもとても印象深いのですが、それ以上に記憶に残っているのがギャラリーの多さです。
最終日の18番のグリーン周りは、ロープの外にギャラリーが収まりきれず、ロープの中、それもグリーンエッジまでギャラリーが入ってきてしまい、目の前にギャラリーがいるという異様な中でのウィニングパットでした。
2004年の東海クラシックは、首位で迎えた最終日でしたが、途中で細川プロに越されて1打差を追う形での最終ホールでした。
最終ホールのミドル、セカンドショットはピン手前10メートル以内にのりました。しかし、1メートル以上もスライスするような難しいライン。誰もが細川プロの優勝がほぼ確定したと思ったでしょう。しかし今井プロはそのパットを決めてプレーオフに持ち込み、優勝を手にしたのでした。

プロキャディ 小田美奈コラム
2005年日本女子オープン
そんな東海クラシックの最終ホールのグリーン上に上がりピンを抜いた時、「このフラッグは私が持って帰る」と感じました。
キャディにとっては「フラッグ=優勝」。フラッグを持って帰ることはキャディの特権とも言えます。どのフラッグに対してもそれぞれ特別な思い入れがあり、それを目にするだけでその時の光景が思い出されるものです。
選手がアテストに向かった後のピンからフラッグを取る時間というのは、今までの辛かったことなどが全て昇華され、最高に心地よい安堵感の中で得られるキャディをやっていて一番幸せな時間と言えます。何度でも味わいたい幸せな時間である事は間違いありません。ずっとその瞬間に憧れてキャディしていましたが、初めて優勝した時はあまりの気持ちの余裕の無さにフラッグを取り忘れそうになりました。
プロキャディ 小田美奈コラム
2004年東海クラシック
そしておまけはそのフラッグに選手にサインしてもらう事。
サインしてもらえれば、それは選手にとっての優勝カップと同じぐらいの重さになる気がします。まさにそれは選手からキャディへの最高のプレゼントではないかと思います。

 
次回更新予定:2007年10月1日

第46回 お風呂場の秘密 2007.09.17
第45回 プロキャディ紹介3…吉岡雅子 2007.09.10
第44回 表情の裏側 2007.09.03
第43回 運も実力の内? 2007.08.27
第42回 キャディの居る場所 2007.08.20
コラムTOPへ バックナンバーを見る


go to top