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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第43回 運も実力の内?

2007.8.27

今回は少々奇妙な話です。
もともとは、霊感だのオーラといった目に見えない力みたいな事は冗談で しか話題にしなかったのですが、キャディをしていてたまに不思議な感覚を経験するようになってから、科学的にはまだ解明されていなくても、もしかしたらそういった力が本当はあるのかもしれないと思うようになりました。
その不思議な感覚と言うのは、ボールが何かの力に後押しされているかのような感覚です。

グリーン上で何かに跳ねたように方向を変えてカップに入ったり、木に当たってフェアウェイに出てきた り、それを「運が良い」と表現されますが、選手本人から湧き出てくる場合もあれば、ギャラリーの力を借りているのではないかと感じる場合もあります。
ゴルフとは、基本的に自然相手のスポーツ。
同じ場所から同じ力で同じように打っても、全て同じ飛び方、転がり方をするわけではありません。木々の成長、流れる空気といったように刻一刻と変化を続けている状況で、同じ結果が出ないことは明らかです。
その自然の一部たる人間だからこそ、機械にはできないような神がかり的なことをやってのけられるのだというのが、私の持論です。

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ギャラリーに囲まれると、キャディだってちょっとは力が入ってしまうものです。
ギャラリーに囲まれている状況のとき、そんな神がかり的な光景をよく見ることができる気がします。
ギャラリーの方の「入れ!」の声に押されるかのように、最後の一転がりでカップに入ったり、難しいラインの道筋を作っていくかのようにボールが吸い込まれていったり、そういった光景を見るたびに、不思議な力を感じます。
そして、コースを取り囲むギャラリーが一斉に同じ気持ちで歓声を上げたとき、ロープの中にいる人間は、鳥肌が立ち武者震いと表現されそうな震えのようなものを感じるとよく言われます。もちろん、私も何度も経験しました。
ギャラリーの人達までもが夢中になるような試合展開では、選手はギャラリーの人達とは比べ物にならないほどの高揚感、緊張感の中にいます。
試合展開以上に、ギャラリーの歓声が、より一層の緊張感を引き出させ選手をますます戦いへとのめり込ませていくのでしょう。
そういった状況にどんどん入り込んでいくと、ボール以外に何も見えていないような選手が、実は何もかもを感じ取っているようなそんな感覚がやってきます。 そうなった時、何をやっても上手くいくのだから、や はり目に見えない力を感じずにはいられません。
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「ギャラリーに囲まれた緊張感の中でプレーすることが、プロにとっては醍醐味」
といった感じのことを中嶋常幸プロが言っていました。
自然を感じ、味方にする。力を分けてくれるギャラリーを惹きつける。
そういった目に見えないことを「運」と表現するのなら、やはり「運」はその人の実力だと思いませんか?

 
次回更新予定:2007年9月3日

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