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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第48回 キャディ同士の駆け引き

2007.10.1

前回、東海クラシックでプレーオフに持ち込んで優勝した話を書きました。
私が今までに経験したプレーオフは、2回。どちらも1ホール目で決着がつきました。
マッチプレーの経験は、女子の日韓対抗戦で一度だけ。
つまり、表題に書いたような駆け引きは故意でしたことが無いので、今回は他のプロキャディから聞いたお話を自分の経験にあてはめてお話したいと思います。

まだ試合が始まったばかりの予選の頃や混戦模様の試合展開の場合、キャディは組全体の雰囲気を良くしていくためにも、どちらかというとお互い協力的な感じで仕事をします。
しかし、1対1の試合となるとそうはいきません。もちろん、あからさまな妨害をするような事はありませんが、ちょっとした騙しあいみたいなことがあったりするようです。

2004年のマスターズGCレディース、宮里プロのキャディをしていた時の最終日最終ホールでの出来事。同スコアでやってきた宮里プロと古閑プロ。それぞれのバーディパットは、宮里プロがピン横エッジ、古閑プロがピン奥から。どちらも同じような距離で、見た目はほぼ同じでした。私がピンから見比べて、なんとなく遠いかなぁぐらいの考えで、宮里プロが先と判断しました。
これは、先輩キャディさんからすると当然の事だそうです。
気持ちも楽だしプレッシャーもかけられるという意味で、先に打つほうが有利。
どちらが遠いか判断つきにくい場合は、自分の選手を先に打たせるようにする事がとても大事とのこと。自分の選手のほうが遠いと先に宣言してしまえば、他の人もそうかもしれないと思うものです。
それがわかっている選手、キャディさんの場合は、もちろんお互い譲れないところなので、ピンでお互いの距離を測るしかありません。
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何も無ければお互いに情報を交換し合う良き戦友のキャディ同士。
相手プレーヤーのキャディをちょっとだけ混乱させる方法もあります。
相手のキャディが風の方向を選手に伝えたときに、「えっ?」という表情でそのキャディを見ること。
風は常に一定方向で吹くものではないし、コースによっては基本の風を見失ってしまうと、全く見つけられなくなってしまう場合もあります。
前に、自分の思っている風と全く違う風を選手に伝えたキャディ君がいて、思わず振り返ってそのキャディ君を見てしまったことがあります。その後、そのキャディ君は自分の風の読みに自信を失い、その選手までもがキャディ君の読みを疑うようになってしまいました。
その時はお互い競っていたわけでもなかったし、本当に申し訳なかったなぁと思っています。もちろんこれも、駆け引きとして使える方法です。

こういった相手キャディからの駆け引きに惑わされないために必要なのは、自分に対する自信。自信を持つことで、相手にも惑わされることなく、ともすればコースという自然にも惑わされることなく、状況を判断できます。そうすれば、状況が変化しても対応できるというわけです。嘘でも自信を持つことを必要とされるキャディは、私も含めてやはり少々変わり者が多いかもしれません。
 
次回更新予定:2007年10月8日

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