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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第49回 キャディの嘘

2007.10.8

前回、キャディ同士で駆け引きするというお話をしましたが、実は他のキャディに対してするよりも、自分の選手に対しての方が頻繁にします。
自分の選手に対してというのはもちろん良いプレーをしてもらうためのもの。
つまり、キャディは自分の選手に対して必ずしも正しい事ばかりを伝えているわけではないのです。

例えば、68ヤードと108ヤードが異常に得意な男子選手のキャディをした時のこと。
その距離が残ると、その選手は驚くほどピンにピッタリつけてきます。
となれば、私がすることはもちろん、69ヤードも67ヤードも、もしかすると70ヤードも66ヤードも「68ヤード」と伝えること。
106ヤードや110ヤードはもちろん「108ヤード」というようにします。
もちろんそれだけではありません。次もとある男子選手のキャディをした時のこと。
P/Sの調子がとても良かったので、サンドウェッジやピッチングウェッジと迷う距離の場合、いつでもどこでもP/Sを薦めます。そうすれば必ず良い所に乗せてくれました。
他にも、フック回転がちょっと強いなと思ったら、左からの風を薄めに読むようにしたり、パットが入っているときは、後ろからアドレスを見てもあまりきちっと治そうとせずに、タイミングの方を大事にさせたりと様々。

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ピ縲怎Gス打ったらバーディ…みたいな歌も歌いました。
これらに共通していることは、良い時は選手の「自信」の部分を利用し、良くない時はその「自信」を崩さないようにすること。
そのためには、こういった駆け引きのような事はもちろん、ミスを選手以外の何か他のものを原因にする事も良くします。
それは、風のせいであったり、グリーンのせいであったり、コースのせいであったり、そして時には運のせいであったり。もちろん、キャディである自分のせいにすることも少なくありません。
プロだってもちろん人間ですからミスをします。しかも、ゴルフの場合はミリ単位の小さなずれでも、大きなミスにつながるスポーツですから、とても繊細。
そんな繊細なスポーツだからこそ、選手の心理面においてもあまり波風立てないようにしたい。そのためには、選手に揺るがぬ気持ち「自信」を持ってもらうことが一番です。
一つの小さなミスでも、選手の「自信」の部分にちょっとでも触れてしまえば、芋づる式に次のミスにつながっていき、最終的には大きなミスを呼んでしまう事だってあります。
ミスの連鎖は、始めの段階で止めてしまう事が大事。
そのための嘘なら、閻魔大王だって怖くない!
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打ち方もタイミングも、入ればそれが答え。
コース内で選手を悩ませないことも、キャディにできることの一つ。
 
次回更新予定:2007年10月15日

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