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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第50回 一騎打ち

2007.10.15

今週のトーナメントは、男子がBSオープン、女子がマスターズGCレディースです。
男子ツアーにも触れたいところではありますが、今回はマスターズGCレディースの思い出から気づいた話をしたいと思います。

このコラムの第48回「キャディ同士の駆け引き」で2004年の最終ホールの話に少々触れましたが、全体の試合展開は宮里プロと古閑プロの熾烈な一騎打ちでした。
最終日は宮里プロが単独首位でスタート。途中、古閑プロが流れに乗って猛烈な追い上げを見せ、後半は宮里プロと古閑プロが3位に大差をつけての優勝争いとなり、その争いは最終ホールの最後のパットまでもつれる形でした。

一騎打ちの形は今までに何度か経験がありますが、どれにも共通する点があるようです。
不思議と3位に大きな差をつける形になる時というのは、その二人が同じ組でプレーしていることがほとんどです。
コース内の所々に配置されているスコアボードを見ないと他の選手がどういった状況かわからないような混戦模様の時や単独で逃げている時よりも、目の前にライバルがプレーしていれば、状況が選手にとってわかりやすく、プレーにより集中しやすいようです。
また、選手の集中力をより一層強くするもう一つの要因としてあげられるのが、ギャラリーの声援です。同じ組で一騎打ちを演じられれば、ギャラリーの方々も応援しやすく、より盛り上がるものです。ギャラリーが盛り上がってくれば、選手はその熱気や歓声を感じて、ますます高揚してくるものなのです。そうなってしまえば、2人の選手とギャラリーが一体となって、大きなエネルギーを生みだすような形になります。

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2004年マスターズGCレディース。試合終了後の選手同士の握手はやはり良い物です。
さてその時私はというと、選手がその空気に乗って突っ走っていくのを楽しく見守りながら、いつも通りの後方支援を行うだけ。いつも同じ私が隣にいるからこそ、選手は安心して闘いの世界に入り込んでいけるのだと信じているからです。
もちろん、一緒に闘いに入り込んでいくタイプのキャディもいて、実際は何が必要なのかさえ押さえいれば、後は選手次第といったところですね。
余談ですが、一つの組に選手は3人ですから、少々取り残され気味になる選手もいます。
この状況のほうがキャディは大変です。悪いゴルフをしているわけではないのに、優勝争いからは脱落して、なんとなく上手くいっていないような、なんとも歯がゆい、でも3位には入りたい、そんな気持ちでしょうか。
優勝争いを目の前で見ながら、自分のプレーに集中することは案外難しいこと。
どうやって集中させるか、流れをつかんでもらうか、一騎打ちをしている場合よりも難しく、誰か答えを教えてくれないかなぁといつも思っていたものです。
 
次回更新予定:2007年10月22日

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