今回は、ツアー中なのにあまり知られていない時間の選手たちの過ごし方についてです。 その時間と は、大雨でプレーが中断してしまった時です。クラブハウス待機となったときに、選手やキャディは一体どこで何をしていると思いますか?
選手たちがクラブハウスに戻ってきてまずすることは、濡れた服の着替え。 そして、ストレッチをす るなどして体を冷やさないように十分に気をつけながら過ごしますが、いつプレー再開となってもいいように軽く食事をしたり、時間を潰すために会話を楽しんだりと基本的にはとてものんびりと過ごします。 各々、ロッカーやお風呂場、選手ラウンジと呼ばれる選手用の休憩所、レストラン等で状況を伝える放送を待ちます。 放送は約30分おきに入り、これからの天候の予想とコースの状況が伝えられ、再開するか未だ待機か、次の報告が何時にされるかなどが伝えられます。
さてキャディはというと、クラブハウスに戻ったらまずとても慌ただしい時間がやって来ます。 選手と自分のレインウェアや帽子、グローブなどを乾燥機に入れ、クラブを磨いてからロッカーで干します。ロッカーが狭かったりすると、場所の取り合い状態になります。 乾燥機には物が溢れ、ロッカー内の湿気も最高潮です。 あちらこちらに濡れたタオルや傘が干され、はっきり言ってギャラリーの方にお見せできる状況ではありません。それらの片づけが終了すれば、後は選手と同様放送を待ちます。 そこで再開となった場合、干したそれら全ての道具をキャディバックに戻すため、再びキャディは走り回ることになります。
相手のスコアによっては中止を願う者、早い再開を望む者、シビアなパットを残していて落ち着 かない人、場合によってはラウンドが終わっていて、待機している人たちの前を申し訳なさそうに帰っていく人、コースでは見られない悲喜交々な姿が見られるのがこの中断の間です。
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翌日再開後に放たれたセカンドショットは、今井さんのベストショットだそうです。 そしてその今井さんの勇気ある決断のお陰で、私はこのフラッグを手に入れることができました! |
中断中の印象の強い思い出は2つあります。 一つ目は、2004年の東海クラシックの2日目。 私がキャディしていた今井克宗プロは最終18番のティショットを終えた時点で中断。雨のため大きく距離を 残したセカンドショットは、グリーンに届かせるためにはフェアウェイウッドが必要だけれども、グリーンの右手前には池。
さてどうする?という状況での中断だったので、中断中も刻むか攻めるか考えていました。しかもそのままサスペンデッドとなり、決断は次の日まで持ち越し。一晩中どうするか考えたそうです。翌日、プレーが再開され、今井プロは攻めることを決断。
なんとかパーセーブし、ラウンドを終えたのでした。
そしてもう一つの思い出は…、 自分の濡れたキャディ用の靴を乾燥機に入れ、そのままサス ペンデッドとなり、靴を片付け忘れてホテルに帰ってしまい、次の日慌てて靴を見に行ったら、縮んでしまってもう履ける大きさではなかったこと。 これはドライヤーでも同じ現象が起きますので、皆様ご注意を。 |