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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第37回 「ありがとう」

2007.7.16

キャディをしていて一番嬉しい時はやっぱり優勝したとき?…もちろん、それはキャディ一人一人違うと 思います。この先は私の個人的な意見です。

私にとってキャディをしていて一番嬉しいと思う時は、優勝した時ではありません。
選手から「ありがとう」と言ってもらえた時です。
優勝した時というのは喜びよりも強烈な安心感が先にやってきます。喜びを感じるのは、その後選手と握手する時です。「ありがとう」の言葉そのものでなくても、ラウンド終了後の握手やハグがその言葉の代わりをしてくれる場合があります。
TVではなかなか選手とキャディの会話を聞くことができないので、こちらの方がわかりやすいかもしれませんね。私はその瞬間がとても好きです。
そしてそれに似たものとして、優勝した時やチップインした時などのハイタッチ、バーディやロングパットを決めた時などのグータッチも、選手と一緒になって勝ち取ったものというイメージがあって好きです。

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2005年沖縄オープンにて。
残念ながら予選落ちでしたが、2005年の最終戦であり、
男子ツアーへの挑戦が終了した瞬間でもあり、感慨も一入。
最近そういったことをする選手が多くなってきましたが、するかどうかはもちろん選手次第。 照れ屋な選手だったりすると握手以外のことをすることはほとんどありません。
そんな選手に一度バーディの後に癖でグーを出したら「何をしているの?」と聞かれ、思わず苦笑したことがあります。少々恥かしかったですね。
喜びを表に出すタイプの選手だと、ハイタッチが来るのかグータッチが来るのかと身構えてしまったこともあります。お互いに「どっち?」という目をして譲り合ってしまって余計に噛み合わなかったりすることも…。
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良く見られる光景ですね。このグータッチは喜びを分かち合うという意味もありますが、集中力をより一層高めていく意味のほうが強いと思います。
その辺りの話はまた後ほど。
キャディと選手は一心同体ではありません。どちらかというと戦友に近いと思います。
目指す場所は一緒でも、違う目で見て違う考えを持てるからこそ、お互いに刺激し合うことができ、そしてまた攻め方や考え方の選択肢もより一層多くなります。
そして、キャディは戦友ではあるけれども、やはりどうしても先頭を切って戦っているのは選手であり、キャディは常に後方で冷静にその戦いを分析しなければならない立場です。
そうした立場の違いからも、喜ぶタイミングにズレがあることは当然のこと。
選手の喜びはもちろん私にとっても嬉しいことではあるけれども、それは選手が勝ち取ってくれたもの。その選手がプレーを終えて後ろを振り返って伝えてくれる感謝の気持ちは、私自身が勝ち取ったものなので、喜びはより一層強いものになります。
選手に感謝してもらえるキャディになりたくて、日々勉強。
「ありがとう」の言葉は私にとってキャディとして成長していくための大きな原動力なのです。
 
次回更新予定:2007年7月23日

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