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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第38回 練習ラウンド

2007.7.23

全ての大会には、始まる前に必ず指定練習日があります。
指定練習日は、4日間競技ならば月曜と火曜、3日間ならば火曜と水曜であることがほとんどです。出場する選手達の多くは、その指定練習日に練習ラウンドを行います。

練習ラウンドのスタートの予約は、数日前に開催コースに電話をして予約を入れるか、コースに来てから 空いている時間に予約を入れるかのどちらかです。(たまに予約は受け付けずに早い者勝ちという試合もあります。)
基本的にはマスター室の前にスタート表が置かれていて、選手やキャディが自ら名前を記入していく形になっています。ハウスキャディさんやカートの要請等もマスター室で行います。練習ラウンドの組み合わせは自由で、仲良しグループで回ることはもちろん、複数名の選手を抱えるコーチの場合は選手達を見やすいように同じ組で回らせる場合も多く見られるようになってきました。

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練習ラウンドの風景です。和気藹々と行われています。
(LPGAプレーヤーズチャンピオンシップにて)
選手が練習ラウンドで行うことは主に、ショットのイメージの出し方、グリーン上でのボール の転がり方、ラフからのクラブの抜け、バンカーの固さなどのコースの状況に体を慣らしていくことです。毎週違うコースで、ベントだったりコーライだったり、ラフが深かったり葉が太かったりといった様々な状況にそれぞれ対応していかなければなりません。
こういったことでキャディに出来ることは「あそこのラフは深くて難しい」とか、「このピンポジションで奥につけたら難しい」といった情報を与えることだけ。
あとは選手が自身の感覚を慣らしている間、ボールを拾いに行ったり、ディボットを直したりといういかにもキャディらしい仕事をこなします。
キャディの仕事はあくまでも知識の部分なので、コースチェックさえしておけば、普通にキャディをするだけです。練習ラウンドで大事なことは選手の感覚の部分なのです。
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グリーン上は特に時間をかけます。
さて、練習ラウンドで何番のクラブを使ったかなどの情報は念のためメモしますが、役に立た ないことが結構あります。なぜなら、試合になると飛ぶようになる場合があるからです。やはり気持ちの問題なのでしょうか。優勝争いになるとますます飛んでしまい、自分の飛距離が全くわからなくなってしまうといった光景はよく見られます。
「アドレナリンが出る」と表現されますが、そうなってしまったらもう後は練習ラウンドでメモしたことなど全く無意味になります。そこで必要なのは今までの経験で得た知識と感覚だけです。
つまり練習ラウンドは、選手にいかにその感覚の部分でコースを知ってもらうかが重要。キャ ディに出来ることはあくまでちょっとしたお手伝いなのです。
 
次回更新予定:2007年7月30日

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