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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第40回 ターゲット

2007.8.6

ターゲットの指示は、キャディの大事な仕事の一つです。
距離、風の向きと強さ等のコースの状況を説明した後、番手を選び、ターゲットを決めていきます。

しかし、このターゲットの決め方はコースの状況はもちろん、選手の持ち球や、イメージの出し方等によ って違ってきてしまいます。
例えば、ドローヒッターの選手であれば、左からの風の場合は右に流されにくく飛距離も少々落ちる可能性が高いので、普通のターゲットの決め方よりは左からの風の意識を少なめにアゲンストのイメージを少し持ってというのがその選手の持ち球に合わせるということになります。そこに、選手の今の状況(体調、ゴルフの調子、その時の順位等)から選手の心の中で生まれてくるイメージを加味して、ターゲットが決まります。
ついた選手のそれぞれの番手の飛距離を知ることはもちろんなのですが、それだけでは情報としては全く足らないのです。
もちろんこれはショットだけに限った話ではありません。
パターのラインの出し方、ターゲットの決め方は、しっかりヒットするタイプ、ラインを出していくタイプ等によっても違ってくるし、もしかすると独特なヒットの仕方をする選手はその選手特有のラインの読み方やターゲットの決め方があったりして、ショットの時より一層繊細で難しくなります。

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練習ラウンドの段階でコースレイアウトを把握して、
基本となる攻め方、ターゲットを大体つかんでおきます。
こんな偉そうに書いていますが、実は私にとってターゲットを決めることは、苦手分野の一つ です。自分自身が元々研修生とかではなく、ただのお遊びのゴルファーであり、ゴルフに対して真剣に取り組んだ時期が全く無いということが大きな要因だと思いますが、選手がどういうイメージを持っているのか、どういった攻め方をしたがるのか、どんな球を打つのかということを、キャディをしながら経験で得て行くしかなく、お陰で苦手意識が全く抜けません。特に男子プロの打球は、想像以上に強さがあるので、なかなかそのイメージを自分の中で作り出すことができませんでした。
私に出来ることは選択肢を増やすことであって、選手のイメージを作り出すお手伝いまではできていないというのが現状です。
それでもやってこられたのは、良い状態の時にこういった理屈の部分というのが全く必要とされなくなるからです。
複雑なターゲットの決め方も、優勝パターンと言われるような絶好調の状態に入ってしまえば全く不要なものになってしまいます。その時は選手の中にあるイメージが完全に答えであり、ゴルフの理論というものが、どこか遠くのほうへ行ってしまうような印象を受けます。
あくまで私のイメージですが、絶好調の選手はコースの状況を肌で感じ、構えただけでそのクラブから生み出される球筋が完璧に頭の中に描き出されているといった感じになるのです。
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選手の心の中は感じるだけで知ることが出来ないからこそ、
今の状況を客観的に常に見ていられる存在が必要とされるのでしょう。
そうなったら、キャディはいかに空気のような存在で、その選手の集中力のある絶好調な状態 を保つ状況作りをすることだけに徹すれば良いのです。
キャディってなんて楽しいのだろうと思ってしまう瞬間ですね。
 
次回更新予定:2007年8月13日

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