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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第51回 キャディとギャラリーの微妙な関係

2007.10.22

ギャラリーに取り囲まれた最終18番ホール。選手達の熱い戦いに沸きあがる大歓声。
応援してくれるファンだけでなく、見に来てくれるギャラリーがいるからこそ、選手は期待にこたえる良いプレーをするために努力するもの。
ギャラリーは、大会を盛り上げる意味でとても大事な存在なのです。

しかし残念なことに、そんなギャラリーが選手にとって曲者になってしまうことがあります。例えば、携帯電話の着信音や話し声、時にはスパイクを履いて見にいらした方の足音など、ギャラリーの立てる音が選手のプレーに支障をきたす場合。
スイングの途中で音が鳴れば、ミスショットになってしまうことがほとんどです。ロープの中にいると、意外にも外の音がよく聞こえるものなのです。
「集中していれば聞こえないはずだ」と言われたことがありますが、ゴルフのように長時間のスポーツは、集中力を持続し続けることは困難で、集中力をコントロールする必要があります。プレッシャーのかからない状況に自分をおくことも大事なこと。最後に向けて集中力を高めていくことも必要なこと。そのためには、浅い集中もありうるのです。
最近では携帯電話のカメラ機能のシャッター音が、ゴルフ界だけに関わらず問題になっています。シャッターの音が気になって、スイングに入れないことも少なくありません。
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キャディの手を挙げる行為は「静かにしてください」「止まってください」の意味。
音だけとは限りません。
ギャラリーが選手の足を止めてしまうこともプレーに影響が出ます。
サインや握手を求められるといった制止しやすいことなら良いのですが、大勢のギャラリーが通路を塞いでしまう場合などは難しい状況です。
歩きにくくてイライラしてしまうといった問題だけではありません。
選手は、考えて打って移動して考えて打って移動して…を繰り返します。移動の時の歩くリズムは、スイングのリズムに影響があるので、スムーズに移動できないとスイングに影響が出ないとは言い切れないのです。
ギャラリーを整理する仕事をされている方はいますが、キャディは選手に一番近く、ギャラリーにも最も見てもらえるので、ギャラリーに静かにもしくは止まってくれるように指示します。そこで難しいのが、見せる側でありながら選手を守る立場であるということ。
私の場合は、選手のことばかりになってしまって、ギャラリーの方に厳しくあたってしまうことが多々ありました。シャッター音が私の怒りのスイッチになっているかのようでした。
「良いプレーをして欲しいなら、邪魔しないで!」と上手く伝えられず、もどかしく感じていましたが、やはりもう少し賢い態度があっただろうなと反省。
でもやはり難しい問題なのは確かです。
みんなで選手の良いプレーを後押しする、そんな雰囲気が作れたら最高ですね。
 
次回更新予定:2007年10月29日

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