キャディをやっていて一番良くあるミスって何だと思いますか？
距離の測り間違い、計算ミス、風の読み間違い、ラインの読み間違い、番手ミス…。
プロキャディにとって書き並べるだけでもドキドキしてしまうようなものばかりですが、時には「ごめん。」で済みそうなミスもあります。例えば、ラウンド中の落し物です。

落し物は困ったことに私にとって最も得意（？）な分野です。
私のミスは、この落し物と忘れ物が大半を占めています。困ったことです。
言い訳をすると、ラウンド中は大きなキャディバッグを背負っているので、少々の変化では気づくことができません。
自分に余裕が無くなれば無くなるほど落としたことに気づくのが遅くなりますが、キャディとしての経験を積んでいくうちに、少しずつ落とした感覚が分かるようになります。
それでも走ったりすると、気づけないことがもちろんあります。

試合中に最もよく落とすものはヘッドカバーではないでしょうか。
ウッドのカバーは走るとヘッドの部分の重さでグルグル回転し始め、気づくと落ちます。
パターカバーは雨でマジックテープが濡れると落ちやすくなります。セカンド地点で気づいてティグラウンドを振り返るとカバーが落ちているのが小さく見えたりして…、そうしたら選手に謝って走って取りに行きますが、見当たらなかった場合はタオルを巻くなど応急処置をします。私は常習犯なのでキャディバッグに予備を忍ばせて置きました。（そんなプロキャディはきっと私だけですが。）
他には、意外かもしれませんがボールが落ちていることがあります。
ポケットに入れているためだと思いますが、コースとコースの間に落ちていたり、バンカーに落ちていたりすることもあります。私はボールを「落としてきた」ことはありませんが、他の選手がパターをしている最中にカート道に「落とした」ことはあります。その後どうなったかはご想像にお任せします。
タオルもよく落ちます。ピンポジションの紙もよく落ちます。クラブが落ちていたなんてこともあります。
書いているだけで暗い気持ちになってきますね。

自分の中で最も忘れられない落し物は、2000年のサントリーオープンの15番ホールで紛失したコースメモです。
キャディバッグの上に置いてトイレに行って戻ってきたら既に無く、好位置にいたこともあって真っ青になったことを憶えています。
メモを無くした思い出はもう一つあるのですが、その時は一緒の組だった女性の先輩キャディに助けてもらってなんとか乗り切ることができました。このサントリーオープンの時は成績が良かっただけに、より鮮明に憶えているのでしょう。
それからしばらくはメモを1冊多めに買ってキャディバッグに入れておき、ピンポジションも1枚多くもらってメモとは別に持っておくようにしていました。

実は落し物をしても大丈夫な方法があります。それは…、選手よりも先を歩くこと。
会話はできなくなってしまうので、落し物に気づいてもらうためだけに先を歩くというのはお薦めできませんが。
あとはとにかく落し物をしないように注意するだけ。
耳の痛い話です。