「プレーに入ります。静かにしてください!」
この言葉、聞いたことがありますか?
「プレーに入ります。止まってください!」という言い方もしますが、「これからショットをするので集中したいから動かないでください、話さないでください、音を立てないでください。」という時に決まってギャラリーの方にこういった声かけをします。ギャラリーの数が多いときはもちろん、他の組を見ているギャラリーの方がこちらに気づいていない場合などに念のため声をかけておく場合もあります。
ロープの外にいるギャラリーの方がパットのライン上で歩いていた場合、「止まってください!」と声をかけることが多くありますが、よくある勘違いで焦ってその場を立ち去ろうとするギャラリーの方がいます。こちらは止まってほしいだけ。
注意されて居心地が悪くなってしまうのか、慌ててしまうのか、かえって動いてしまうギャラリーの方というのが少なからず見受けられるものです。
ロープの外側にいるのですから、ラインなど気にせず見ていてください。その代わりアドレスに入ったら動かない、話さないということだけ守ってほしいと思います。
音を出すものの代表的なものが携帯カメラ。
あの機械的な音は本当に響きますし、一度聞くとまたやられるのではないかと疑心暗鬼になって集中を取り戻しにくくなってしまうものです。
そして意外に知られていないのが、ビニール袋。
入り口で配られる袋やギャラリープラザで買い物した時にもらった袋などが、風が吹くとこれが意外に大きな音を立てるものです。
キャディをしている時にもこれと似たような現象で困ることがあります。それは、レインウェアが風になびいて音を立ててしまう時です。
選手と違ってレインウェアを着ていること自体はプレーに何ら影響を及ぼさないので、時間に余裕が無い限りキャディはレインウェアを脱ぎません。しかし、風が強く吹いてきたときだけは脱がざるを得なくなります。
|
グリーン脇に並ぶキャディバッグ達。
傾斜があるときは、斜面に沿って縦に置くのが基本。 |
キャディが発する音で一番怖いものは、キャディバッグの音です。
歩いているときはクラブが当たる音がします。この音はクラブに傷が入ってしまいそうで、あまり気持ちの良い音ではありません。それを手で押さえたり、タオルを巻いたりして音をさせないようにします。
選手によっては「歩いているときにクラブの音をさせるキャディは下手なキャディ」と言い切る選手もいるほどです。
グリーンに着いたら、キャディはバッグをグリーン脇に置きに行きます。その時に立てておいたバッグが風で倒れると…、ということを想定してキャディバッグは寝かしておくことが基本ですが、それでも風でコロッと転がってしまう場合があります。
ちょっと転がっただけでも、クラブ同士が当たる音がするものでこれがくせものです。
できる限り動かないように置く場所にも配慮しなければなりません。
アドレスに入ってショットするまでは敬遠される「音」。
しかし、これを決めれば優勝というパットの時、静まり返った18番グリーンで、静かに響くパターがボールを弾く音。ボールの転がりと共に湧き上がる「入れ!」の声。そして、カップインの音を打ち消す大歓声!今でも目をつぶれば思い出し、鳥肌が立つその瞬間。
選手達の熱い戦いをドラマにしてくれるのは、ギャラリーの大歓声という人間の内側から沸きあがる「音」なのです。
|