今年一年を振り返ると、「石川遼選手に始まり、石川遼選手で終わった。」そんな一年ではなかったでしょうか。 昨年のマンシングウェアオープンKSBカップでの優勝から、プロ宣言を経て今年の開幕戦が開催されるまで、石川選手のゴルフに対しては必ずしも良い評価ばかりではありませんでした。まだ現役の高校生ということもあって、日本ゴルフツアー機構に対してだけでなく、プレス関係の方々に対しても、「長い目で見たほうが良い」「あまり騒ぎすぎないように」といったような意見が少なからず様々な形で出されていました。
私個人も開幕までは実際のところどこまで活躍してくれるのか、マスコミの報道と実力が噛み合うのか、少々不安を感じずにはいられませんでした。それでも彼に期待し、彼がある程度の活躍さえしてくれれば…という願いに似た思いもありました。 そういった思いを抱いた関係者は、想像以上に多かったのではないでしょうか。
そんな期待が寄せられる中、開幕戦の東建ホームメイトカップでは単独首位で予選を通過するなど優勝争いに加わり、大勢のギャラリーを引き連れて大いに大会を盛り上げてくれました。まさに、新たな階段を登り始めた瞬間だったのではないでしょうか。 少々苦しんだ時期もあったようですが、それでも結果だけ見れば先輩プロに引けをとらない実績を残しています。 そして最も盛り上がりを見せる後半戦、しかも日本オープンからの成績はまさにスターへの階段を登りきって、今度はスターとしての新たな道を歩き始めた、そんな印象を受けました。 最初は、「ハニカミ王子」という名が先行していたような気がしますが、今ではどの新聞を見ても「遼」の文字が躍り、「ハニカミ王子」の文字を探すことはむしろ難しくなっています。 賞金王の称号でさえも手に届きそうなプロに、王子というのも失礼ということなのかもしれません。
|
ギャラリースタンドに満ちる期待感。 来年も多くのギャラリーが石川選手の応援に訪れることでしょう。 |
期待された時に期待されている以上の結果を出すことができる。そこに自分の意思があっったかどうかは別として、気づけば自分自身に期待が集中するクライマックスの状況が出来上がり、そしてシナリオがあるのかと思わせるような結果を導くことができる。 それがスターなのでしょうか。 宮里藍プロの時にも感じていたことです。この子はなんて凄いことを簡単に、しかも楽しそうにやってのけてしまうのだろうと思うことが度々ありました。本人は必死だったと言いますが、まわりにはそう伝わらない。スターと呼ばれる人にはきっと幸運以上の何かがあるのだと思わざるを得ません。 東児が丘マリンヒルズゴルフクラブ17番ホール、初優勝を決めたと言っても過言ではないグリーン奥バンカーからのチップインバーディーが、ただのラッキーではなかったのだと改めて気づかされます。
石川選手の魅力としてよく挙げられることの一つに、しっかりとした受け答えがあります。 ラウンド終了後に必ず求められるコメントは、常にはっきりしていてとても正直なイメージを与えます。想像通りの答えは少なく、子供っぽさも感じさせるようなとても素直な感想があって、最後にギャラリーの方への感謝を忘れない。 お手本のようでありながら、彼にしかできないコメントを必ずしています。 ファンはそんな彼の言葉に共鳴し、動かされ、またコースにやってきます。
日々、成長し続けるスター。多くの人に注目されることも頷けます。
「ゴルフ界に救世主現る、かな…」 マンシングウェアオープンで立山さんが呟いたと言われる言葉。 どうやら、その通りのようです。
|