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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第141回 林からの脱出

2009.7.13

林に入ってしまった時、皆さんはどうしますか?
フェアウェイに出すのか…。はたまた無理して狙うのか…。
もちろん、そうした決断は周りの状況によっても違ってくるでしょう。
攻めてみて泣くか笑うか天に運を任せるのか、それとも堅く守ってその先の自分を信じるのか。必ずしも答えは一つではありませんが、そういった時にその方の性格を垣間見ることができるような気がします。
あの時、ああしておけば…、もしこうだったら…と「たら」「れば」を言いたくなってしまうのもこういった状況の対処に対してであることが多いのではないでしょうか。
松にセパレートされたコースでは、林に入ってしまうと大変。
松にセパレートされたコースでは、林に入ってしまうと大変。
プロでさえそういったトラブルに見舞われることは決して少ないことではありません。
当然のことながら、そこでできる限りグリーンに近付けようとするのか、横、もしくは後ろに出すのか、それはその選手の得意距離とピンまでの残り距離にもよってきますし、コースの状況やレイアウトによっても違ってきます。
もちろん基本的にはパーを拾える策、最悪でもボギーで済む策を練ります。
そのためにまずすることは、その危機から脱出するための「道」を見つけることです。
その「道」とは、幹と幹などの低い場所だけに関わらず、空を斜めに見上げるような複数の枝と葉に囲まれた空間の場合もあります。
そこでまず、道が開いている場所がどれほどの高さで、その高さの角度に打ち出していける番手が何番になるのか、そこから出した時にフェアウェイに出るまでの距離とラフに突き抜けてしまう距離がいくつで、そのクラブとの兼ね合いがどうかということを球が打ち出されていく様子をイメージしながら考えます。
そうした道も1か所だけではなく、できれば数か所見つけて、今選手が置かれている状況(例えば攻めなければならないような状況なのか、確実にいかなければならないような状況なのかといったこと)を考えながら、全ての道で脱出させた後の攻め方をイメージします。
そして、最もイメージの良かったものを選択することになります。
道は見えましたか?
道は見えましたか?

予選の時などは、とにかく次につなげていけるように、あまり無理をしないということがセオリーですが、選手によっては予選だからこそと運試しでもするかのようにちょっとの無理ならチャレンジしてみる選手というのもいて、それは選手の性格によって違ってきます。
私がキャディをさせていただいている選手には、そういった俗に言うところの「攻めたがるタイプ」がとても多いです。
そういったタイプは時に暴走しがちなので、キャディは選手と反対に堅い攻め方を基本に道を探すように心掛けることで道の選択肢を増やすことができます。

しかし、優勝争いなどでどうしても攻めなければならないような状況もあります。

そうした場合はそれがいかに脱出が成功する確率の低い狭い道であっても、攻めていかなければなりません。
優勝が見えていれば見えているほど、選手は「いちかばちか」の賭けをするものです。
そんな賭けに勝ち、ピンチから脱出するだけでなく、逆にチャンスにしてしまうことができた選手が、勝利の女神に栄光を勝ち取る資格をあたえられた選手なのだと思います。

 
次回更新予定:2009年7月20日

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