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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第181回 カットライン

2010.4.19

トーナメントの予選2日目。
男子ツアーの場合は金曜日、女子ツアーの場合は土曜日であることがほとんどですが、予選カットライン(決勝に進むことのできるスコア)周辺で初日のラウンドを終えた選手にとって、その日最も気になることはやはり実際のカットラインがいくつになるのかということです。
出場したからには決勝に駒を進めたいと思うのは全ての選手に共通する思い。そのため、カットラインの予想は選手にとって想像以上に大きな影響を及ぼします。
予選最終日となる2日目、キャディはそのスコアを予想してからスタートホールのティグラウンドに上がり、意識しながらラウンドすることになります。

カットラインまで数打足らないとなれば、あとバーディーをいくつ取らなければならないのか、そして比較的バーディーを取りやすいロングホールがいくつ残っているのかなどの状況を踏まえて、今頭の中にあるイメージとすり合わせながらもできる限り攻めていく方向でマネジメントをしていきます。
攻めなければカットラインに届かないならば選択肢は一つしか無く、それが結果的に悪い結果になってしまったとしてもそれを悔いることはありません。
ところが、ぎりぎりカットライン内ということであれば、無理をしないで丁寧にゴルフをする守りのゴルフを展開していくことが多くなります。
当然、守るゴルフが必ず良い結果をもたらすということはありません。守りたい気持ちを抑えて思い切って攻めたことで、スコアに余裕ができて良い流れをつかめるかもしれないし、逆もまた然り。こればかりは終わってみないとわかりません。
その状況の中で、攻めるのか守るのかを天秤にかけながらゴルフしていくことは、想像以上に苦しいものです。

上位選手だけでなく、カットラインまで示される掲示板は要チェックです。
上位選手だけでなく、カットラインまで示される掲示板は要チェックです。
カットラインを気にしながらラウンドすることを好まない選手もいます。できる限り、カットラインを意識しないように、自分の今できるプレーにのみ集中する。そうした選手についているキャディは、カットラインを意識していないマネジメントをしている‘ふり’をしなければなりません。
キャディは常に多くの情報に敏感でいなければなりませんし、カットラインを知らない必要は全くありません。カットラインを意識しながら、それを表に出さなければ良いだけの話。上手いこと演じながら、いかにカットラインに滑り込むかを考えて良い流れが来やすい状況を作っていくことが大事です。
選手が「カットラインは意識しない」と心に決めた時点で、本音では気にしているということ。キャディは選手が集中し易い環境を作るためにも、攻めるのか守るのかについて選手が迷うことの無いように配慮していくのです。
ラウンド終了後に、スコア速報が表示されているパソコンの前を行ったり来たりしたくはないもの。
それでもカットラインに滑り込んだ時には、思わずガッツポーズが出てしまいます。
優勝争い以外のところにも、熱い戦いと様々な駆け引きが繰り広げられているのです。
 
次回更新予定:2010年4月26日

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