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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第182回 カットラインに揺れる朝

2010.4.26

その日のゴルフの調子はもちろん、選手自身の賞金ランキングや今後の試合出場の予定など、現実的なことが頭をよぎってしまいがちなカットライン上のゴルフでは、自信を持ってプレーするためにも、カットラインをある程度予想しておく必要があるということは、前回書きました。
しかし、予想のカットラインが必要とされる理由はプレーに関わった話ばかりではありません。
現実的な話、最も大きく関わってくるのはホテルをチェックアウトするかどうかということかもしれません。
今回は、そんなカットラインの予想に揺れる予選2日目の朝についてです。

基本的な予想カットラインの算出方法は、「初日のカットライン×2-1」と言われています。ところが、これは初日と2日目の状況に大きな変化が無い場合に限った話。
ピンポジションやその日の天気を見て自分なりに予想することも必要になりますし、時には先輩キャディの予想を参考にすることもあります。
毎週のようにカットラインがいくつかを意識していれば、日本オープンのようにいつもと出場選手が大きく違うような大会でなければ、それほど大きく予想を外れることはありません。

1週間近く同じ部屋で寝泊まりしていると、だんだんと荷物が広がってしまいます。(小田亨撮影)
1週間近く同じ部屋で寝泊まりしていると、だんだんと荷物が広がってしまいます。(小田亨撮影)

例えば、予選の初日を終えて、予選落ちが目の前に見えてしまっている場合やひょっとすると予選落ちもありうるという場合、予選落ちしてしまうことも想定して2日目の朝にほとんどの選手やキャディがホテルをチェックアウトします。その日以降の予約は残しておいて、結果が出次第ホテルに連絡を入れる形をとります。会場周辺のホテルでは、関係者ということで考慮してくださることが少なくありません。
そういった場合でもチェックアウトしないのは、次の週の会場にそのまま直接行く人や、会場で練習するために残る人です。
たまに「チェックアウトすると予選落ちをしそうだから」とゲンを担いでいる人もいます。 逆に予選通過の可能性が高いスコアなのに、「落ち着いてプレーできないから」という理由で必ず朝にチェックアウトするという選手もいます。
予選2日目の朝は様々な思いが見え隠れして、選手の違った一面を垣間見ることも少なくありません。

私自身はというと、荷物は必ずまとめておきます。カットラインぎりぎりもしくは予選通過が厳しいという状況では、チェックアウトしてコースに荷物を持っていきます。大丈夫そうかなといった感じの時はチェックアウトはせずにホテルのフロントに荷物を預け、トップ10に入っている時は荷物をまとめて部屋の片隅においておきます。
予選落ちした時を常に想定しているととられがちですが、実は部屋が片付くということが一番の理由です。月曜日から宿泊していると性格的にどうしても散らかってしまって、日曜日の朝に片づけるのが大変になってしまうからというのが本当の理由。
部屋が片付いていると気分爽快で、良い結果が舞い込んで来そうな気がするからです。これも私にとってはゲン担ぎの一つ。
そして、予選落ちしたらさっさと帰る。来週に向けて気持ちをさっと切り替えて、体を休めることに重点を置きます。
私の性格が少し見えてくるような気がしませんか?

カットラインに揺れる朝
カットラインに揺れる朝

予選2日目を気持ちよくラウンドするためにどうするか。 そこにもその人なりの行動パターンがあって、そこに選手の新たな一面を発見することは楽しいことでもあり、キャディをする上で大事なことでもあるのです。

 
次回更新予定:2010年5月3日

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