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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第184回 体内のリズムとタイミング

2010.5.10

例えば、プロのトーナメントをテレビで見ている時やラウンドしていて同伴競技者がプレーしているのを見ている時、「良いショットを打ちそうだな」「このパットは入りそうだな」と感じたことはありませんか?
それは感覚の部分の話なので、「これ」とはっきりと言うことは難しいですが、アドレスの形や構えるまでの間、アドレスに入るタイミングなど…様々な理由が考えられます。
逆に、「ミスしそうだな」と感じる場合もあります。
今回はそんな予感のようなものを感じさせる理由の一つ、タイミングについて考えてみたいと思います。

「ミスしそう」と感じられるタイミングでアドレスに入った後に、選手自身が何らかの気持ち悪さを感じてアドレスを解いた場合、ほとんどの選手がルーティーンをもう一度始めからやり直します。
ルーティーンが大事ということは既によく知られていて、現在では多くの選手が実行しています。常に同じタイミングでアドレスに入ることで、ミスは格段に減ると言われていますし、実際にそう実感させられる場面を何度も見てきました。しかし、「常に同じタイミングで」というのはそれほど簡単なことではありません。
前の組と間が開いてしまっている時や雨が降っている時など、気が急いてしまいがちな状況の場合、自分のタイミングを見失ってしまうことが少なくありません。
雨の日に「濡れたくない」と思うのは当然のこと。
気が付けばアドレスに入るタイミングどころかスイングのリズムまで狂ってしまうということがあります。
その他にも、風が強い時やプレッシャーを強く感じている時などもそういった状況になってしまいがちです。

選手の持つリズムをキャディは常に感じています。
選手の持つリズムをキャディは常に感じています。

アドレスに入るタイミングには選手それぞれが体内に持つリズムが大きく影響しています。その体内のリズムを一定に保つためにキャディができることは、以前にもいくつか書いてきました。
最もよく使われる方法は、第29回でも書いたように、常に同じリズムかそれより少しだけゆったりと歩くこと。
プレーの進行上、歩く速さを変えることはできないので、歩幅は大きめで足を交互に運ぶリズムに気を付けます。
もちろん、キャディがリズムを整えても選手にそれが伝わらなければ意味がありません。
会話をするなり、選手の側を歩いてキャディバックの揺れる音を聞かせたりといったことで選手に気づかれないように影響を与えていくようにします。
ゆっくりとした口調で会話することも効果的です。早口はいつでもNGです。
クラブを渡すタイミングに間をおくことも、良い方法だと思います。
タイミング自体を遅くしてしまうと選手に違和感を与えかねないので、あくまでも「間をおく」ということが大事です。

選手に「リズムが速くなっている」と伝えることは、最終手段です。
自分のリズムを完全に見失ってしまうと、再び取り戻すのは難しいもの。
見失う前に少しずつ調整することがとても大事です。
リズムが整えば、自然とアドレスに入るタイミングも一定に近づいてくるというもの。
良い結果を導くために、まずは自分のリズムを見直すことから始めてみましょう。

 
次回更新予定:2010年5月17日

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