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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第185回 間

2010.5.17

前回は「このパット、入りそう」と感じさせる「何か」の一つとして、「タイミング」の話をしました。
今回は同じようにその「何か」の一つであり、「タイミング」にも大きく関連している「間」について考えてみたいと思います。

前回も書いたように、キャディが選手の体内のリズムに影響を与えるために、クラブを渡すタイミングに間をおくことがあります。
渡すタイミング自体を遅くしてしまうと、選手に違和感を与えかねないので、あくまでも「間をおく」ということなのですが、例えばクラブを渡す前にグリップを拭いたり、クラブを手渡す際にクラブから手を離すのをワンテンポ遅らせたりといったことです。
選手自身がタイミングを取り戻すために、少しばかりの間をとる光景はよく見られます。それは特に緊張するパットの場面が多く、間をおくことで気持ちを落ち着けるのが目的であることがほとんどです。
例えば、短いパットを外した後のお先のパットは、間をおくことができるかどうかで結果にも影響が出てきます。
時にはキャディが声をかけて、間をおくようにすることもあります。

緊張感漂うパットの時ほど、上手に間をとることが大事です。
緊張感漂うパットの時ほど、上手に間をとることが大事です。

間をおきすぎても、かえって緊張感が増してしまうこともあり、間のおき方にも配慮が必要です。
マークをして、ボールの向きをもう一度確認しても良いし、他のプレーヤーに先に打ってもらえる状況ならば打ってもらえば良いし、汗を拭いても良いと思います。気になることを全て排除するだけでなく、何かをすることで気持ちをリセットし、アドレスに入るタイミングを再び探すのです。
打つことに恐怖心を感じることもありますが、いつかは打たねばならないパット。
早く打って楽になりたい気持ちもわかりますが、雑音によって間をおかざるをえない場合もあります。
自らの意思ではなく、何らかの理由でおかざるをえなかった間から、良い結果を導きだすことは非常に難しいものです。

プレー中に作り出される間には、ギャラリーもハラハラドキドキさせられるもの。
良いプレーをするためにも、熱い闘いを演出するうえでも大切な要素の一つです。
そして、その間が生みだす雰囲気のようなものが、見ている側に「このパット入りそう。」と感じさせる「何か」なのだと思います。
笑いにも感動にも「間」が大切という話は聞いたことがあります。
人間の心に響く「何か」は、目に見えないものだけに答えが無く、だけれどもその重要性は計り知れないものなのです。

 
次回更新予定:2010年5月24日

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