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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第187回 大事なお先パット

2010.5.31

例えば、このパットを決めれば自己ベストといったような大事な場面で、アドレスに入った途端にラインやスタンスの向き等に迷いが生じたことはありませんか?
迷いが生じたら、まずはそのアドレスを外すこと。
一度アドレスを解き、ルーティーンを始めからやり直すことでその気持ち悪さを解消することが最良の方法だと思います。ルーティーンの大切さについては、このコラムでも度々触れてきました。

しかし、お先パットとも言えるほどの短い距離のパットの時など、打ち急いでしまいがちな状況では、選手本人の意思でそのアドレスを解くことは難しいようです。
普段なら違和感を抱くようなアドレスに対して、「何も感じない」または「感じていてもアドレスを解くことなくそのまま打ってしまう」…といったことが時として起こります。
選手が明らかに悪いタイミングでアドレスした時、キャディがそれを指摘して待ったをかけるといったことはできません。
構えてしまったら、あとは選手自身が気持ち悪さを感じて、その構えを解いてくれることを祈るばかり。
アドレスを解いてさえくれれば、こちらから話しかけるなどして間をおくことができますが、キャディの祈りが通じる時ばかりではありません。
選手のタイミングが悪くなりそうだなと感じた時には、アドレスに入る前に何らかの行動を起こさなければなりません。

大事なパットであるが故に、アドレスを解くことにより一層の勇気が必要になります。
大事なパットであるが故に、アドレスを解くことにより一層の勇気が必要になります。

多くの選手はほぼ全てのパットで、マークしてボールを取り上げ、ボールのラインを合わせるなどして置きなおすということをします。
普段はほぼマークする選手が、微妙な距離が残っているのにしなかった時は、その時点で要注意ということになります。
第185回の「間」で書いてあるように、ここでもワンクッション入れられるような間をとることが大事なのですが、そのためにキャディができることは何でしょうか。
「ちょっと待ってください。」といったように、明らかにストップをかけることもありますが、流れを大きく変えたくないような状況では避けたい方法です。
打ち急ぎそうな状況の中、マークをしなさそうな選手には、ボールの位置に向かうまでに話しかけるようにします。その内容は些細なことで良いのです。
「ボール拭こうか。」「思ったよりも切れたね。」といったものが多いです。
マークをしようとしている選手であれば簡単で、横目に入る程の距離にタオルを差し出します。普段からキャディをつけてゴルフをしている人は、ボールを取ろうとしている時にタオルが見えると思わずボールを渡す癖があるようで、この方法でボールを渡さなかった、もしくは間を置かなかった選手はいません。
ボールを渡さなくても、汚れているのか…とボールを確認し、キャディの顔を見るという間を作ることができるからです。
状況によっては「待ちましょう。」と、お先パットを止めることもあり、これらの一連の行動は常に冷静に選手を見ているキャディだからこそできることだと思います。

間を取ってくれるキャディがいない場合は、自分自身でその状況に気づかなければなりません。しかし、それは非常に難しいこと。
自分自身に対して常に冷静でいられるかどうか、そこがポイントです。

 
次回更新予定:2010年6月7日

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