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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第188回 怒りの鎮め方

2010.6.7

18ホール、時間にすれば約5時間。
常に自分自身の心と体の状態を冷静に分析しながらラウンドできるかというと、それは非常に難しいと思います。何もない日常生活の中ですら、5時間もの間冷静でいることは不可能ではないでしょうか。冷静さを失ってしまう原因は、焦りや悲しみ、そして怒りなど様々です。
車の運転と同様に、本当の性格が出てしまいがちなゴルフというスポーツの中で、「怒り」は思わず抱いてしまう感情です。そんな「怒り」をいかにコントロールしていくかについて考えてみたいと思います。

プロゴルファーの中にも、自分自身のイライラした気持ちが正直に態度に出てしまう選手がいます。クラブを地面に叩きつけたり、放り投げたり、キャディに当たり散らしたり・・・俗に言う「キレる」ということが多い選手です。その態度に不快感を覚えたギャラリーの方もいたのではないでしょうか。
実際、私自身も目の前でクラブ折られたり、軽くではありますが蹴られたりという経験があります。先輩のキャディが大勢のギャラリーの前で頭を叩かれている姿も見たことがありますし、取りに行くのが難しい場所にクラブを投げ捨てられて、女性キャディが泣いたという話を聞いたこともあります。

ふと空を見るというのも、怒りを鎮める良い方法かもしれません。
ふと空を見るというのも、怒りを鎮める良い方法かもしれません。

短気は損気と言われるように、表に出てしまった怒りが良い方に転ぶということはほとんどありません。
態度に出てしまったそのイライラとした気持ちは、組全体にも嫌な雰囲気を与えてしまいます。当然、同伴競技者には喜ばれませんし、そんな雰囲気の中で自分の精神状態を立て直すことも難しくなります。
キレやすい選手は自分自身が短気だということをある程度理解してはいますが、キレてしまうと自分で感情をコントロールするのは非常に困難になるようです。
感情をコントロールするために、「相手が女性なら怒りをぶつけられないから」という理由で女性キャディを雇う選手がいました。
私自身も短気と言われる選手のキャディをさせていただきましたが、確かに私に対しては気を使い、普段ならひどい怒り方をしていると思われる状況でも必死に我慢し、自らその怒りを発散しようと努力している姿を見ることができました。
ティーショットのミスを連発して、怒りを発散するためにセカンド地点まで猛ダッシュしていく選手を見た時は、同伴競技者の選手の方に申し訳ないと頭を下げながら、心の中では笑ってしまいました。

キャディは組全体の雰囲気を悪くしないためにも、選手の怒りを鎮める努力をしながら、他の選手に頭を下げたり明るい話題をふったりします。
キレている選手には、怒ることのもったいなさをそっと伝え、説教をし、時には距離を置いて放っておきます。なぜか短気な選手は放っておかれることを嫌がることが多いので、敢えて放っておけば選手の方からこちらに戻ってくるからです。

そんな策士なキャディが傍にいない時、自分の感情をコントロールできるのは自分自身だけ。ラウンド中に思わずイライラしてしまう人は、まず自分に合った怒りの鎮め方を知っておきたいものです。
空を見たり、深呼吸したりするのも良いですね。もっと辛い時を思い出すというのもいかがでしょう。なぜ自分が今怒っているのか、その理由について云々と考えることも効果ありかもしれませんね。
せっかくのゴルフ、怒っている時間は少しでも短くありたいものです。

 
次回更新予定:2010年6月14日

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