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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第191回 ゆっくり話す

2010.6.28

試合中、選手が焦ってしまいがちな状況は多々あります。
前回書いたような、競技委員によって急かされた場合や優勝争い、予選通過ラインギリギリの状況といった緊張感を伴う場合、単純に雨や風が酷い場合等、焦る状況は様々です。

選手の焦りを抑える、もしくは焦らないようにするといったことに効果的と考えられることはいくつかあります。
一番よく使う方法は、歩くテンポをゆっくりにすること。
焦る状況の多くは、ゆっくり歩いていられないような場面ばかりです。そこで、歩幅を大きくすることでスピードは落とさずに、テンポだけを落として、その足音を選手に感じてもらえるようにします。何も問題の生じていない普通の状況では常に同じテンポで歩くように心掛け、焦りがちな場面のみ遅くすることでその効果は大きくなります。
その他にも、アドレスに入る前に飲み物を渡したり、グリップを拭いたりといった一呼吸置かせる方法や物を渡す際の手を離すタイミングを遅くするといった方法があります。

しかし、最も簡単で効果もあり、必ずしも焦る状況でなくても実行しておきたい方法があります。
それは、ゆっくりはっきり話すことです。

実は、私自身が相当焦るタイプなのです。
根がのんびりしているので、急がなければならない状況になると、思わず嫌な汗をかいてしまいます。キャディになりたての頃は、情けない程落ち着きの無いキャディでした。
徐々に仕事に慣れてきて、それとともに自信が付き、やっとさほど焦らず済むようになりましたが、焦ることはキャディをしていくにあたってマイナスであることは間違いありません。
そのため、焦らずに済む方法、もしくは焦っているのを誤魔化す方法を常に模索してきました。

現在、私自身に最も合っている方法は、このゆっくりはっきり話すことです。
選手に話し掛ける時もワンテンポおいてから単語一つ一つをゆっくりと、そしてはっきり話すことで、自分自身を落ち着けます。
ゆっくり話すことは言葉に重みも与えるそうで、選手にアドバイスする際にも良い効果があると考えています。

ゆったりと響き渡る鐘の音が心に響くように、言葉も丁寧にリズム良く話せれば、選手の心に響くような助言ができるかなと勝手に期待しています。

 
次回更新予定:2010年7月5日

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