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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第192回 シンプルなアシスト

2010.7.5

選手をアシストする方法には、「言葉」と「行動」によるものがあります。
共通して言えることは、「シンプルでなければならない」ということです。

行動でアシストする場合、結果が形になって見えるものではないので、効果があったかどうか、はっきりとはわかりません。
そのため、あれもこれも試してしまうとその効果の有無は、より一層わかりにくいものになり、それどころかそれぞれの持つ効果が発揮されない可能性もあります。
例えば、トラブルで前の組と離されてしまっている場合、急がなければなりませんが、選手の持つリズムは狂わせたくないし、気持ちが落ち込まないようにもしたいものです。そこで、大きな歩幅と遅めのリズムで歩きながら、楽しいことをゆったりとした口調で話す…といったように、それぞれに対して有効なことを組み合わせて行動します。
楽しい話は、ゆっくりとした口調よりテンポ良い口調の方がその楽しさが伝わります。
急がなければならない状況なのに、何を暢気におしゃべりしているのかと思う選手もいるでしょう。
しかし、まず、その状況で何が優先かを考え、一つのことから解決していくようにすることが大切です。

池までの距離、普通なら余裕で超えるのにキャディさんにわざわざ教えられて気になってしまう人もいるのでは?
池までの距離、普通なら余裕で超えるのにキャディさんにわざわざ教えられて気になってしまう人もいるのでは?

言葉でアシストする場合、特に情報を伝える時には何よりもシンプルでなければなりません。

選手がキャディに対して、「他の選手に迷惑をかけることなくキャディバックを運ぶ」ということの次に求めていることが情報の提供とそれに伴うアドバイスです。
風やターゲットまでの距離といったその場の情報を正しく伝えること。
そこから選手の調子やコースの状況などから考えて、番手やコースマネジメントについて助言すること。結果を分析し伝えること。
その全てにおいて大切なのが、「シンプルに情報だけを伝える」ということです。
不必要な情報が多ければ多いほど、迷いを生むだけ。
それを避けるために、余計な言葉や情報はできる限り排除しなければなりません。
目標物までの距離を伝える場合にも、要らない数字まで伝えてしまわないようにしなければなりません。
選手がどの辺りにボ-ルを運ぼうとしているのか、そしてキャディとしてどう攻めさせたいのかを考えれば、自ずと伝えるべき数字とそうでない数字が見えてきます。
結果を分析する場合も、ミスの原因が何だったのか「あれが…」「これが…」とあげてしまっては、かえって頭を混乱させかねないもの。
様々な理由が考えられるときは「運が悪かった。」の一言で良いのです。
突き詰めて考えるのは、ラウンドが終わってからで十分間に合います。

わかりやすくシンプルに。
簡単そうに思えて、これがなかなか難しい。
選手が考えすぎないように、私自身のキャラクターも出来る限りシンプルで全てにおいてわかりやすくありたいと考えています。

 
次回更新予定:2010年7月12日

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