Home > コラム一覧 > 小田 美奈のコラム
プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第194回 ツナギの着用について

2010.7.19

最近、少々気になることがあります。
キャディにスポンサーがつくようになり、広告媒体としての収入も見込めるようになって、「プロキャディ」という職業的地位がやっと認められてきた…とホッとしたのも束の間、トーナメントでのキャディのおかれている環境に思わぬマイナスの変化が表れてきました。
それは、大会側が指定したキャディウェアの着用が義務化されていることから生じる問題です。

年々、暑さを増しているように感じられるのは、自分の身体が衰えているからという理由だけではないでしょう。特に梅雨の時期の暑さは尋常ではありません。
夏場に至っては、「屋外での作業を控えましょう」とテレビで呼びかけられるほどです。
そんな中、キャディはいつものようにゴルフバッグを担いで汗だくになりながら18ホールを歩き、時には走っています。そのため、膝周りが解放される短パンは、夏場の必須アイテムと言えます。
最近では当たり前のキャディの短パン姿ですが、日本の男子ツアーではその着用を認められてからまだ10年ほどしか経っていません。
初めて認められた時は、日本ゴルフツアー機構(以下、JGTO。)によって定められた期間内で、しかもJGTOのロゴが入った既定のもののみ可という状況でした。
こちらは配布でしたので、その当時はスポンサーがついているキャディもごくわずかで、多くのキャディにとっては悪くない話でした。
数年で既定の短パンは廃止されましたが、色や素材に関して束縛はあるものの短パンに対する規制は緩やかになってきた印象があります。
ところが、この数年、大会のロゴが入ったツナギ(all in one)の着用を義務化するトーナメントが増えてきました。

キャディバックを担ぐ背中に汗疹が!なんてことも。日傘はもちろんさせません。                             キャディ業務はまず暑さとの戦い!?
キャディバックを担ぐ背中に汗疹が!なんてことも。日傘はもちろんさせません。 キャディ業務はまず暑さとの戦い!?

私自身はツナギに対して憧れが強かったため、思い入れがあるのですが、少々この現象には不安を感じています。

本音を言えば、ツナギはキャディ業務に対して非常に不便です。
特に雨の日の着用は過酷です。レインウェアは大会ロゴを隠してしまうので、ツナギの中に着用しなければなりません。中に着てしまうと途中で晴れてもなかなか脱ぐタイミングが無く、サウナスーツを着ているような状態でのラウンドになってしまいます。
暑さに配慮して薄地のツナギを用意してくれる場合もありますが、汗をかくと下着が透けてみっともない姿になってしまうこともあり、結局はインナーを着ざるを得ず、かえって暑さが増してしまうことも。
寒さ対策としての上着ももちろん中に着用しなければならず、いちいちツナギを脱いで上着を着て…といったことも、茶店休憩などが無い試合中にはできません。
ツナギは、天候の変化に全く融通が利かないのです。

ただでさえ体力勝負の仕事ですから、できる限り無駄な体力の消耗は避けたいところ。なぜ、普通のゴルフウェアにポンチョではいけないのかと不思議に思います。

 
次回更新予定:2010年7月26日

第193回 Twitter と トーナメント 2010.07.12
第192回 シンプルなアシスト 2010.07.05
第191回 ゆっくり話す 2010.06.28
第190回 焦る気持ち 2010.06.21
第189回 観戦レポート ~ダイヤモンドカップゴルフ~ 2010.06.14
コラムTOPへ バックナンバーを見る


go to top