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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第197回 キャディの悩み

2010.8.9

毎年、少しずつ面子を変えながらも増えていくプロキャディ。
一つの職業として認識されていくまでの過程の中で先頭を走ってきたキャディは、既に30代後半から40代となりました。
時が経つのは本当に早い。
ところが、10年もすればベテランと呼ばれてしまうほど、まだまだ新しい仕事であるプロキャディ。そのベテランキャディ達は、後輩からよく相談を受けます。
マニュアルも研修も無く、経験が必要とされる仕事なので、多くのキャディが悩み、お互いに相談し合ったり、語り合ったりすることで答えを見つけようとすることはよくあることです。

私の場合、一つの壁を乗り越えたら、また次にも大きな壁があったといったような状況が続いていました。
キャディとしての仕事について悩み、やっと自信が持ててきた頃に選手との関係に悩み、キャディとしての自分自身に悩み、そしてまた余計に仕事がわからなくなるという悪循環。
しかし、「自信が無いならプロでは無い。」とある人にそう言われて、私は勇気を得ました。

とにかく自信を持つこと。
悩んでも良い。クヨクヨしても良い。
でも、キャディとしてバックを担いでいる間は、自信を持って歩こう。
そう決めたことで、何かを見つけた気がしました。
ラウンド中は常に胸を張り、失敗した時はホテルに帰ってから一人反省。
時には泣き、時には先輩に話を聞いてもらい、次の日にはまた笑顔でクラブハウスに入ります。そう、私は「キャディという仕事が誰よりも好き」という想いに、大きな自信を得たのです。

スタートする頃には、自信に充ち溢れたキャディでいることが大切!
スタートする頃には、自信に充ち溢れたキャディでいることが大切!

対人間の仕事ではあるけれども、自然の状況や運にも大きく左右されがちな仕事ですから、悩みはつきものです。
そして、選手によって求めているものが違うことがその難しさをより増幅させます。
優勝に答えがありそうな気がしていましたが、実際に優勝してもそこにあるのは答えでは無く、達成感と大きな安心感。
「答えは無い」という結論に達しても、また次の週には悩み始めるのです。
では、なぜそんなに悩むのか?
それはきっと、キャディという仕事が好きだから。
キャディという仕事が好きでなければ、本職にしようという人はいません。
プロキャディになる理由は、何らかの形でトーナメントのキャディを経験して、この仕事に惚れ込むか、一人の選手に惚れ込むかのどちらかです。
そして、好きだからこそ常に最高のキャディを目指し、どんなに悩んでもなかなか「辞める」ということに繋がらないのだと思います。

どんな形であれ、何かに自信を持ちたいですね。
そうすることで、悩みは一つの成長課題として捉える事ができるようになると思います。難しく考えすぎないことの難しさ。
大好きな仕事について悩めることも、私にとっては幸せなことです。

 
次回更新予定:2010年8月16日

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