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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第198回 キャディという仕事の大変さ

2010.8.16

「重いバックを担いで、よく長い距離を歩けるね。」
「全国各地転々とするなんて、大変な仕事だね。」
プロキャディという仕事をしていると、度々そう言われます。
私が女性だから余計にそのように思われるのかもしれません。
しかし、この仕事を大変と感じたのは、大雨のコースに出ていくためのクラブハウスからの1歩目と、知らない土地で電車を乗り継ぐ時に階段しか(?)無かった時(常に重たいキャリーケースをごろごろと転がしての移動だったので。)だけだったように思います。

何が、それほどまでに私を夢中にさせたのか。その答えは未だにわかりません。
ロープの中で声援を浴びながら輝く選手たちを見ているのも好きだし、ロッカールームでたわいもない話をしているのも好きです。全国行脚についても、各地の美味しいと言われるお店に行くことや小さな居酒屋で一人夕食をとることが密かな楽しみでもあります。

始まりは、ゴルフサークルの女性メンバーがアルバイトでキャディをしたのを見て、私もやってみたいと思ったことでした。
そして、他のメンバーがあるプロに自ら声をかけて帯同でキャディをしたことで、プロキャディと言う存在を少し身近に感じるようになったのです。
しかし、仕事としてトーナメントキャディを意識するようになったのは、まだずっと後のこと。
当初は、「プロのキャディは格好良い」というイメージばかりが膨らんでいたように思います。キャディをしていて「大変」と感じるよりも、楽しくて仕方が無いという時期でした。

全国各地で美味しいお店を探すのも、私にとって仕事に対するモチベーションの一つ♪
全国各地で美味しいお店を探すのも、私にとって仕事に対するモチベーションの一つ♪

その数年後、就職活動に失敗してアルバイトでプロのキャディを続けるうちに、プロキャディという仕事を目指すようになりました。
過去を振り返れば、ただひたすらにその道を突き進んできたように見えますが、実はとても多くの人に支えられ、その道を開いてもらってきたのだということを感じずにはいられません。
アルバイトで優先的にキャディをさせてくれた学生担当の方。
距離の測り方と選手への伝え方を教えてくれたのは、プロアマにヤーデージブックを忘れてきてしまった水巻善典プロでした。
初めて帯同キャディとして使ってくれた那須美根子プロ。その後、西塚美希世プロを紹介していただきました。
男子では、具慈勲プロに道を開いてもらい、立山光広プロに育ててもらいました。

どんなに職人的な仕事ではあっても、やはりそこには人と人との関わり合いが大事で、その中で求められていることが何かを学び、それを磨いていかなければなりません。
確かに、少々変わった仕事ではあありますが、本質の部分では他の仕事と何ら違いは無いと思います。
それが「仕事」である限り、大変さは何らかの形で必ず付きまとうものではないでしょうか。

もちろん、泣くほど辛かったことはたくさんあります。
血の気の引く思いをしたこともあります。
それでもこの仕事を「大変」だと思ったことはありません。
「その仕事が好きかどうか」という大事な部分で、「大変」という感覚は変わってくるのでしょう。
どうやら私はキャディという仕事が本当に好きなようです。

 
次回更新予定:2010年8月23日

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