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プロキャディ 小田美奈コラム
毎週月曜日更新

第52回 笑う門には

2007.10.29

ツアーももうすぐ最終戦。賞金王争いもシード権争いも熾烈になってきています。
そんな熱さとは裏腹に、気候は暑さも治まって過ごしやすい時期。空も高く感じられるようになりました。
今回は、そんな空を眺めながら上を向いて楽しくラウンドすることをお薦めするお話。

ラウンド中に笑うなんて真剣さが足りないと、感じられる方が少なからずいます。
怒った態度を見せるのはプロではないと言う人もいます。
感じ方は人それぞれですが、確かに行き過ぎた怒り方は見ていて気持ちの良いものではないと思います。
しかし、ラウンド中に笑うことは何がいけないのでしょう?
私の思うキャディの仕事のうちに、笑わせたいときに笑わせることがあります。笑うことは、無駄な力を抜くことに非常に有効な手段だからです。
プロキャディ 小田美奈コラム
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下を向いている選手には話しかけて…
上を向いてもらいます。
無駄な力が入ることはスイングに影響することはもちろん、単純に選手が疲れてしまいます。集中力を保つには大変なエネルギーを必要とするので、大事な状況になるまで体力気力共に温存したいもの。しかし、無駄な力は全く不要なものながら、気づかぬうちに入ってしまう厄介なものです。
そんな力を抜くために有効的な方法は、今目の前で起きていることからちょっとだけ目をそらすこと。一息つくことさえ出来れば、それが必ずしも笑うことではなくても良いのです。
笑うことは他にも、あまり流れの良くない状況のときに、下を向いて歩きがちな選手に上を向かせることにも効果的です。
下を向いて歩くということは、姿勢だけでなくアドレスにも影響するもの。
ゆったりとした構えをしてもらうためには、やはり選手に上を向いていてもらわなければなりません。選手に話しかけて上を向かせるのはもちろん、それが明るい話だったら気分転換にもなります。
笑わせるのはタイミングが大事で、怒っている時に面白い話をしても笑ってくれるものではありません。現実を説明しながら面白い話に持っていくのか、選手の気持ちがちょっとでも動いたときに、強引に話に引き込むか、その辺りは状況次第で変わります。
ひどく怒っている選手には、あえてまず私が怒ってみたり、真っ先に私が落ち込んでみたり、慌ててみたりという会話への導入方法を使ったりもします。「僕が頑張らなきゃ」と選手に思わせながら、適当な会話に振ることも面白い効果があります。
「笑う門には福来る」
まさに、その通り。
 
次回更新予定:2007年11月5日

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